チェロの練習で最初に行う「ボーイング(弓の動かし方)」の練習です。
チェロで美しい音を出すためには、正しいボーイングの基礎をしっかりと身につけることが重要です。
また、チェロは左手と右手両方を用いて演奏します。
左手の運指は複雑なため、右手(ボーイング)の練習は体で覚えるまで練習が必要です。
本記事では、チェロ初心者の方に向けて、基本的なボーイングの練習方法とポイントを解説します。
そもそもボーイングとは?チェロ演奏における役割
「ボーイング(bowing)」とは、弓を使ってチェロの弦をこすり、音を出す技術のことです。
左手で音程を作る一方、右手(弓)で音色とリズムをコントロールします。
ボーイングの正確さが、音の美しさ・表現力に直結するため、練習は非常に重要です。
ボーイング練習のゴール:理想的なボーイングの形とは?
理想的なボーイングとは、
①弓が弦に対して直角に触れていること(弓のすべての毛が弦に触れていること)
②弦の中で弓毛が触れる場所が一定であること
※下写真の赤枠内を目安にしてください。
真正面から見た時に、黒い板の下端部分と駒(写真だと薄茶色のパーツ)との
ちょうど真ん中あたりをひけるとよいです。

③音が安定していて滑らかであること(一定の力、一定の速度で弓を動かしていること)
です。
圧力・スピード・弓の角度という3つの要素が一定で各弦の移動もスムーズに行えるようになることが目標です。
失敗例:
- 弓がまっすぐ動かず音がかすれる、震える
:チェロの構え方、弓の持ち方が正しくできているか、力みすぎていないか確認してみましょう。 - 力を入れすぎて音がつぶれる
:弓毛で弦をこすって音を出しますが、こする際にはほとんど力を入れる必要はありません。
(A線以外の3弦を弾く際は、弓と手の重さで音が鳴ります。ならない場合は松脂を塗りなおす等してみてください。)
チェロの4本の弦と対応する音について
チェロには4本の弦があり、それぞれ以下の音に対応しています。
4本の弦の名称および左手を使わないで音を出した場合の音階は以下のとおりです。
(高い順=弦が細い順、右から順番に)
- C線:ド
- G線:ソ
- D線:レ
- A線:ラ
ボーイング練習では、これら4つの弦どの弦でもきれいな音で弾けるようになることも大切です。
それぞれの弦の抵抗感や響き方が異なるため、慣れていきましょう。
ボーイングの基本姿勢と弓の持ち方
まずは正しい姿勢と弓の持ち方を覚えましょう。
姿勢のポイント:
- 椅子に深く座り、背筋を自然に伸ばす
- チェロは胸の中央にしっかり固定
- 右肘はリラックスし、肩が上がらないよう注意
チェロの持ち方、構え方についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
弓の持ち方:
- 親指は弓の下、やや曲げた状態で支える
- 中指と薬指で弓の重さを支える
- 小指は軽く添えるだけ(力を入れない)
弓をしっかり持とうとすると力が入りすぎてしまいがちですが、あくまで軽く・自然に持つことが大切です。
弓の持ち方についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
基本のボーイング練習(開放弦ボーイング)
初心者におすすめなのが、開放弦(左手を使わない=左手で弦をおさえない)でのボーイング練習です。左手を使わず、弓の動きだけに集中できます。
練習ステップ:
- まっすぐ弓を引く
- 指板と駒の中間を意識して、弓が水平に動くように注意
- 音が安定するスピードと圧を探る
- 一定のスピードと力で弓を動かす
リズムの練習
ある程度音をきれいに出すことに慣れたら、リズムを意識した練習に進みましょう。
練習方法としては、メトロノームに合わせて弓を動かします。
最初は、メトロノームをテンポ60に設定して練習して、慣れてきたら他のテンポでも練習をしていきましょう。
実際の練習についてはこちらに記事にしております。
毎日の練習と上達のコツ
ボーイングは毎日の積み重ねが大切です。短時間でも継続することで確実に上達します。
上達のコツ:
- 鏡で自分の弓の動きを確認
- 録音して音の違いを聴き比べる
- レッスンや動画などで模範演奏をチェックし、修正していく。
まとめ:チェロ初心者こそ丁寧なボーイングを
チェロの美しい音を奏でるには、正しいボーイングが不可欠です。
焦らず、丁寧にボーイング練習を積み重ねていきましょう。
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